写真や映像を撮った時になんだか物足りない…一味足したい、映画みたいなカットにしたい。分かりますその想い。
今回はKickstarterでクラファンしていたsmokeNINJAという、そんな希望に応えてくれるかもしれないポータブルスモークマシンを購入しました。無害な煙で部屋を満たすことで、光を拡散させてシネマティックな雰囲気を演出できます。
最初はsmokeGENIEに目をつけてたんですが、そちらは7〜9万円台とちょっと買ってみるかってレベルを超えた出費だったので諦めていました。そうしたら同じ会社からより小型で手の届きやすいモデルが発売されるじゃないですか!ということで、作その使い勝手はいかがなものか見ていきます。
概要
PMI Gearという香港を拠点にする会社が開発したsmokeNINJA。smokeGENIEを開発したブランドと同じです。
smokeNINJAはバッテリー駆動のポータブルスモークマシン。専用のリキッドを熱して発煙させます。リキッドの中身は無害で安全な成分が使われており、焦げるような匂いもせず、様々なテストで問題ないことが確認されています。
ボタン1つでフォグ、ドライアイス、スチームと3つの煙を選択できて幅広い使い方が可能。LEDスマートインジケーターでチャンバーの使用率をリアルタイムで確認できるため、スモークを炊きすぎてコイルが焼かれるといった心配もありません。
価格はsmokeGENIEと比べて半額近くになっており、高すぎるよと諦めていた人でも手が届くと思います。
スモークがもたらす効果とは
スモークは分かるけど、実際どんな効果があってどんなときになんのために使うの?と思いますよね。簡単に解説します!
幻想的な空間を演出
スモークは光の拡散や反射を生じさせて幻想的な空間を演出することができます。柔らかい光で溢れた非日常的な映像にすることで商品やキャラクターを際立たせられるのが強み。
スモークはそれ単体で表現することもできますが、ライトと併用して光を操ると一層効果は強まります。
奥行きを表現
スモークは空間表現を補助するためにも使用されます。被写体とカメラの間、またはその延長線上にスモークを焚くことで奥行きが生まれます。
例えば商品にライトをあてているけど、奥は壁だけの単色になってのっぺりした感じになった時に役立ちます。
時間の表現
スローモーションや早回しをすることで、スモークの動きによる時間表現が可能になります。
スロー再生する場合、被写体が速く動いていればスロー感がでます。しかし、ゆっくりまたは止まっている場合は一目での判断が難しくなるため、視覚的な補助としてスモークを使うと効果的です。
同梱物
ダンボールにキャリングケースが入っていました。
- smokeNINJA本体
- 100mlリキッド
- 替えのコイル
- リモコン
- ショートノズル
- ロングノズル
- カーブノズル
- フォグアタッチメント
- USBケーブル
- マグネットマウント
- 1/4ネジマウント
- 予備のトップカバー
- 説明書
同梱物は豪華です。
デザイン
やや角張った見た目をしています。なんとなく想像していたよりもがっしりとしたサイズ感でしたが、片手で持てるので問題なし。smokeGENIEよりも30%小型化されており、これくらいが丁度良いです。
後ろ側のバッテリーが入っている部分が結構大きい。持った時にグリップしやすいよう角はしっかり丸められています。手の脂がかなりつくのでコーティングはあんまり好きじゃないかな。
重さは実測で270gでした。リキッドを入れていませんがコイルは取り付けた状態です。
ボタンとスマートインジケーター
本体正面にはボタンが4つとスマートインジケーターが搭載されています。上の電源ボタンを3回押すと起動。
スマートインターフェースとは両サイドのラインのLEDのことで、選択しているFOGタイプでカラーが変わります。スマートと呼ばれる所以は、最大連続噴射時間の60秒を正確にカウントダウンしてゲージのようにリアルタイムで目減りしていくことにあります。また、バッテリーの残量も3段階で確認することが可能。
インジケーターは明るさが3段階用意されており、発光しないステルスモード、室内向けの弱ライトモード、室外向けの強ライトモードとあります。FOGならFOGのボタンを短く押すと明るさがサイクルしていきます。光ってほしくないって状況はありがちなので、無発光モードがあるのはとても良いかと。
下にあるUSB-C端子にケーブルを繋いでチャージ。このときもスマートインターフェースがバッテリー残量に合わせて色や光り方を変えます。smokeGENIEでは前面にOLEDが搭載されていたようですが、smokeNINJAの方が視覚的に分かりやすそうです。
背面バッテリー側に丸いRECマークのようなボタンがありますが、これがスモークを噴射する発射ボタン。最初これが発射ボタンだと思わなくて探し回ってしまいましたが、慣れると人差し指で押しやすいです。
チャンバー取り付け
チャンバーはこのような空気密閉される専用のケースに入っています。これは中にリキッドを入れたものを保存している写真。今回Kickstarterで購入したセットには替えのチャンバーが本ケースに入ってきたので、元々本体についていたものと交互に入れ替えながら使っています。
チャンバーはこんな見た目で、リキッドは最低これだけいれてねってラインっぽいのが入っているので、そのラインまでは少なくとも液体で埋めた方が良さそう。
トップの保護カバーを外した状態。使用しているとチャンバーが熱くなるためカバーがあるみたいです。長時間使った後にいきなり触ると火傷する恐れがあるので十分な注意が必要です。
チャンバーはゴム蓋を外した穴から液体を補充します。
性能について
実際に使ってみた感想です。
小さいけどパワフル
事前に加熱しておく必要はなく、必要になったらボタンを押せばスモークが噴出されます。これは普通に最高です。
煙は申し分ない量がでます。この小さな個体から発せられる量としてはかなり多い気がします。噴射スピードは変えられませんが、物に当てて溜まりを作るなど工夫すればいかようにも使えるでしょう。煙は滞留しやすいです。
以前使っていたスモークマシンは10秒で区切って使うバースト噴射だったので、smokeNINJAの60秒はマジか?って恐る恐るになってしまいますが、60秒もスモーク炊けたら相当な量になります。室内ならかなり煙たいかと。
真面目な話、煙炊きすぎて火災報知器が鳴らないように節度を持って使いましょう。
ボタンで切り替えるだけのフォグタイプ
smokeNINJAではボタンを切り替えると噴射するフォグの形を変えることができます。それぞれのモードでおすすめのノズルアタッチメントが存在します。
最もベーシックなFOGモード。煙の量は多く、部屋に充満させて光を拡散させると雰囲気のある画作りがりできます。そこそこ勢い良く出ていくため、溜めたい場所から少し離れるか物などにあてて使うと良さげ。
次にDRYICEモード。勢いが弱めで、アタッチメントと組み合わせることによって写真のような滞留する煙だまりを作り出せます。冷たい印象を与えられる他、他のモードと違って広がりにくいため面白い演出ができそうです。
最後はSTEAMモード。FOGと同じく勢い良く噴射していきますが、煙の量が薄く視認しにくくなっています。料理系の湯気を表現するのに合っています。今のところ1番使っていないモードではあります。
クリーンで安全なスモーク
スモークの生成行程は安全で、スモークマシンではよくある燃えるような臭いがしないのが特徴です。延焼や爆発といった危険からも縁遠いとされているようです。爆発とかあんまり考えたくないですけどね、怖いな。
SGSによりスモーク自体も100%無害であることが認証されていて、スモークの中にいなければならない俳優たちの健康にも考慮されています。
立ち上げが超高速ですぐに使用可能
本機を使い始めて最初に思ったのが電源の立ち上げが速いこと、そして長押しじゃないところが最高だということ。
電源ボタンを3回素早く押すと電源がオンになります。3回押して電源オフ。スモークマシンに限らずほとんどの機材って電源長押しなことが多くて、頻繁にオフ・オンするようなものだとそれがどんどんストレスになります。
1回押して起動だと誤ってオンにしちゃうみたい可能性も考えられますので、3回は丁度良い回数です。
取り外し可能なモジュラーデザイン
smokeNINJAの使い勝手をさらに良くしているのが、パーツを取り外しできるモジュラーデザイン。
チャンバーはネジ式でマウントするようになっていて、交換が容易です。これの何が良いかというと、チャンバーから毎回リキッドを清掃しなくて良いところです。
リキッドを入れっぱにして本体に装着していると漏れてしまう可能性があるため推奨されていません。なので使用が終わったら取り外して空気密閉されたケースに保存しておきます。6ヶ月ほどなら問題なく再利用できるそうです。
前のミニスモークマシンは毎度清掃が必要だったのでかなり面倒臭かったです。
さらにバッテリーは18650リチウムイオン電池で交換可能です。ただしこの電池は安全なものを選ばないと発火の危険性もあるため、代替品を買う場合はPSE認証や容量、保護回路があるものを探す必要があります。違法品がそこらへんで売られているようなので注意してください。
NLAセレクトのものは安全そうですが自分で買って試したわけではないので自己責任ご購入ください。
リモコンで遠くから使える
直接本体のボタンを押さなくてもリモートコントロールができます。付属のリモコンには赤いボタンが1つあるだけなのでスモーク発射しかできません。
本体のポータブルサイズを生かして物の影に隠れさせておく、離れた場所に置く、冷蔵庫の奥に隠すなど、シチュエーションに合わせた利用ができます。
マウント方法も考えられている
本体単体としては特にネジ穴など切られていないため三脚に載せられません。しかしバッテリーをスライドさせると本体に切れ込みが入っていることがわかります。これは両サイドにあります。
そこにマグネットマウントや1/4マウントをスライドして入れられるようになっています。
バッテリーカバーを戻せば固定完了。ネジや3Mテープなどを使うよりも断然お手軽で高速着脱可能です。
マグネットの強さはほどほど。平面なら本体を支えるのに全く問題ありませんが、少しカーブしていると落ちやすくなります。
こちらは1/4ネジマウント。三脚に載せる、一脚に載せて延長するなど使い道が広がります。
レビューまとめ
- パワフルな出力
- 小型で扱いやすい
- ボタン1つで切り替えられるフォグタイプ
- 視覚的に分かりやすいインジケーター
- モジュラーデザイン
- リモート操作可能
- バッテリーはそこそこもつ
- 価格が安くなった
以上smokeNINJAのレビューでした。
デメリットらしいデメリットが見当たらない、非常に優れたデザインのポータブルスモークマシンです。ちょっと値段的にびびってしまったsmokeGENIEよりもかなり安くなっており、私のようなアマチュアビデオグラファーでもちょっと買ってみるか、で買えるくらいの価格にはなってます。
とにかく立ち上げの速さも素晴らしいし、フォグの量も申し分なし、リキッドを毎回掃除しなくて良いなど文句のつけようがありません。
映像をシネマティックに演出するための小道具、これ1つあるのとないのではプロダクションバリューが段違いだと思うので、購入検討してみては。