写真家や映像家のための編集用デバイス「Loupedeck CT」をレビューしていきます。
前作「Loupedeck+」よりも格段にアップグレードしたデザインと性能。
より薄く、小さく、軽く。液晶タッチパネル付きでコマンドを確認しやすくなっていますし、直感的な操作性は健在。
プラスも使ってみたのですが、見た目のしょぼさとカスタマイズ性の制限が気になったので、意を決してCTに乗り換えてみました。
その特徴と性能について見ていきましょう。
概要とスペック
Loupedeckシリーズは元々クラウドファンディングして発売されたフィンランド製のクリエイター向け編集デバイス。
この「Loupedeck CT」はその中でも最上位機種に位置付けされるモデルです。
タッチパネルやダイヤルで直感的なツール操作が可能となります。マウスとキーボードで操作するよりも細かい調整を、より短い時間で出来ます。
PhotoshopやLightroom、PremiereといったAdobe製品からFinal Cut Proなどにも対応。このようなソフトウェアに日々向き合うクリエイターなら必見のデバイスです。
同梱物
箱in箱。
外箱に「伝票はここに貼ってください」って書いてあるので、輸送用の箱扱いみたいですね。日本はその上にさらに段ボールで梱包してくれます。
デバイス本体。
USB-Cケーブルと、USB-CからAに変換するアダプター。
ケーブルはデバイス側がL字タイプになっているので、さしても邪魔になりにくいです。
その他クイックガイドが付属してきます。
同梱物は以上。
デザイン
サイズは 160 x 150 x 30 mm、かなりコンパクトなサイズです。キーボードくらいの大きさだったLoupedeck+に比べると約1/2以下です。
机に置いても圧迫感が少なく、いちいち片付けなくても良さそう。
1番驚くのがその薄さです。もっと厚みがあると思っていたのですが、ロープロファイルのキーボードくらい薄い。
重さは実測で361.8gでした。かなり軽めで、その小ささもあって持ち運びに適しているデバイスです。
ノートPCで外で編集する人には嬉しいポイント。
プレートはアルミニウム製で頑丈。かなり高級感があって所有欲をしっかり満たしてくれます。
Loupedeck+は3万強も払ってこれか・・っていうABS製だったので、格段に見た目はアップグレードされていますね。
値段がめちゃくちゃ高いのでこれくらいは当然だとも思いますが、とにかく文句のないルックスです。
ダイヤルのキャップもアルミ製で高品質。このツマミはかなりグリグリと酷使することになるので、耐久値が高いのはありがたいです。
このダイヤルはトータルで6つあり、タッチパネル両脇に位置しています。ダイヤルの中身はソフトウェアで変更可能。
大型のホイールは中がタッチパネル液晶になっていて、回転させたりパネルで様々な操作が可能です。
さらに丸ボタンは8つ。四角ボタンは12個あります。これらはタッチパネルと違って物理ボタンですので、見た目を変えることはできません。
パネルにはバックライトが仕込まれているので、キーが光ります。
ボタンの配列が変わった時などは光で分かりやすく表現してくれるので、見た目だけでなく利便性も良いです。
底面はプラスチック製です。滑り止めの丸型ラバーが全部で4つ貼られています。
背面にあるケーブル端子はUSB-Cです。
Loupedeck CTの特徴
「Loupedeck CT」の特徴について見ていきます。
豊富な対応ソフトウェア
対応しているソフトウェアは以下の通り。
- Adobe Lightroom Classic
- Adobe Premiere Pro
- Adobe Photoshop CC
- Adobe After Effect
- Adobe Audition
- Final Cut Pro X
- Capture One
- Albeton Live 10
- OBS Studio
- Spotify Premium
- Steamlabs OBS
Adobe系のメジャーなソフトで使えます。
私はWindows10でPhotoshop用に使っています。
コンパクトで邪魔にならない
Loupedeck+は大きめなキーボードくらいのサイズがあったので、机の上にキーボードが2つ常時あるような体制でした。
これが結構邪魔だったのですが、CTはかなりコンパクト化されていてあまりスペースをとりません。
私は左にLoupedeck、右にマウスというスタイルなのですがとても使いやすいです。
Loupedeck+だと両手の距離が物理的に離れざるをえなかったのですが、CTならこじんまりとしたスペースでもストレスフリーで操作できます。
タッチパネルで一目瞭然
CTには3×4でトータル12枚のタッチスクリーンがあります。これらはそれぞれボタンとして機能します。
物理ボタンと違って、ボタンに何が割り付けられているのかをアイコンや文字で表示してくれるのが強み。
これによって、どこに何を割り当てたのか覚えていなくても一目で分かるようになりました。
こういった編集デバイスは本来自分なりにボタンをカスタマイズして、さらにそのボタン配置に習熟しなければなりません。その難易度を大きく下げてくれます。
ちなみに両脇のダイヤルインジケーターと、ホイールの中身もタッチスクリーンとなっています。
これらもソフトウェアを使えば中身を自分好みに入れ替えることができます。
単色ではなくRGBですので、アイコンなどは色による識別も簡単に。
カスタマイズの幅広さ
タッチスクリーンは全部で12個ですが、タッチパネルを横にスワイプすると別の画面へと切り替えられます。
つまり、12個のプロファイルを沢山作っておけば実質設定できる機能数に制限はありません。
ただしそれだけスワイプ回数が増えるので、使うものは表に、使わないものは奥にしまうような感覚でセットしていきましょう。
LoupedeckではこれらのプロファイルをWorkspaceと呼んでいます。
Photoshopなど、元々選択できるコマンドが全て網羅されているわけではありません。そういった場合はマクロアクションで作ってしまえばOKです。
直感的な操作性能
タッチパネルをタップするだけで、複数のキー同時押しが必要なコマンドを起動できます。
ちょっとした操作の積み重ねですが、簡略化できると時短になります。
最も直感的な操作は6つあるダイヤル。1ノッチがしっかり分かるので1メモリずつでも微調整できます。早く回すとすぐにマックス到達も。
これらのダイヤルは、RAW現像だと露出やハイライトといったよく触るものが割り当てられています。一気にグリグリ調整できます。
2つ同時にひねっても認識してくれます。これはマウスでは不可能な操作ですね。
タッチパネルは高速でタップすると反応してくれないので、少し時間を置いてタップする必要があります。これがさらに高速化されたら最高です。
着脱式ケーブル
ケーブルはUSB-Cの着脱タイプとなっていて、持ち運びや片付ける際には取り外せます。
買い替えて自分の好きな色のケーブルにしてもいいですし、もっと長いケーブルを買って取り回しを良くしてもいい。自由です。
ストレートタイプよりもL字の方が邪魔にならないし見た目も不恰好じゃないのでおすすめ。
Loupedeck CTのイマイチなところ
「Loupedeck CT」のイマイチ・惜しいところについてです。
値段がめちゃくちゃ高い
これですね。定価税込7万円弱。
そのビルドクオリティや機能性など、製品自体の出来はかなり素晴らしいと思っています。しかし、それでも簡単にはおすすめできない値段。
タッチパネル搭載のストリーミングデバイスである「Elgato Stream Deck XL」は3.5万円くらいだったと思います。それと比べると、CTでしかできないことがめちゃくちゃあります。撮影や編集をする人は絶対こっちを買った方がいいです。
かなり勇気のいる値段ですが、私は買ってめちゃくちゃ満足しています。Photoshopの編集スピードが上がっただけでなく、日常使いでも地味に役立つんですよ。
例えばデスクトップからPhotoshopとかその他のアプリをボタンタップ1発で起動できるようにしたとかね。
もし今から「Loupedeck」シリーズを買おうと考えているならば、頑張ってこのCTを買うと後悔がないかも。
もしホイールやボタン数が少なくていいなら本モデルの半額くらいで買える「Loupedeck Live」というのも良い選択肢。
Bluetooth機能がいまだに使えない
どうやらBluetooth機能が後からファームウェアアップデートで追加される予定らしいのですが、いまだに音沙汰がありません。
というか、Bluetooth接続可能になったとして、バッテリー積んでないのにどうやって動かすつもりなんだろう。
もしかして実はこっそりバッテリー積んでるのかな?だとしたら仕様書に書いてあるはずですよね。たぶんないと思う。
無線で接続できるけど給電はケーブルでってなりそう。それでもないよりは全然便利ですけどね。いつになるかさっぱり分からないので期待しない方がいいです。
それよりもアップデートが遅滞しがちなので、もうちょっと頑張ってほしい。アプリごとに使える機能をもっと増やしてほしいところ。
Photoshopのオブジェクト選択ツールをツールセクションに追加してください・・!
設定はけっこう大変
慣れないうちは設定に時間がかかります。
ソフトウェアの設定画面はわかりやすく作られているので、特に説明書を見なくても触っていれば慣れて行きます。
最初から各ソフトウェアにはプリセットが用意されていますので、まずはそれを開いてみましょう。
そこから少しずつ自分がよく使う機能に入れ替えていくのがおすすめです。
アプリ起動などは自分でアイコンを設定できるのが嬉しいポイント。
一緒に買っておきたい周辺機器
タッチパネルやホイールスクリーンを保護するフィルム。このあたりはいつ何の拍子で傷つくか分かりませんからね。
私はアンチグレアタイプを買いましたが、光沢タイプとか種類は色々あるみたいです。
ちなみに上記の製品はどうしても気泡が抜けないため、他のタイプを探してみることをおすすめします。
付属してくるケーブルは1mと短すぎるので、別途2〜3mのケーブルを購入するのがおすすめ。片側L字タイプだとなお良いですね。
私はPCをデスクの右側に置いているため、左側まで迂回させるには余裕を持って3mは欲しかった。
持ち運び用のケースは別売りされていますが、価格が高いので最初から付属してほしかったのが本音。
もし外で編集することが多いなら買っておきましょう。
レビューまとめ
写真現像や映像編集を時短する編集専用デバイス「Loupedeck CT」のレビューでした。
キーボードショートカットでもそれなりにスピードアップできますが、ダイヤルつまみでの微調整は本デバイスならでは。
画面に集中しながら作業できるので、より自分のイメージに近い結果に仕上げられます。
値段が相当高いので買うのに躊躇するかもしれませんが、日々写真や映像に触る人なら買って損はないと思います。
- 優秀な点
-
- 豊富な対応ソフトウェア
- コンパクトで邪魔にならない
- タッチパネルで一目瞭然
- カスタマイズの幅広さ
- 直感的な操作性能
- 着脱式ケーブル
- 問題点
-
- 値段がめちゃくちゃ高い
- Bluetooth機能がいまだに使えない
- 設定はけっこう大変