被写界深度とアングルを使って、物が一見浮いているかのように見せる撮影手法について紹介していきます。
横から見て明らかに浮いている!といった類のものではありません。それをするならテグスを張ったりとか完全に合成するといったものすごい手間がかかっちゃいます。
これはあくまで撮影時短の中で出来るちょっと変わった映像、という程度のもので過度な期待は持たずに見てもらえればと思います。
必要なもの
浮かせたい対象物の大きさにもよりますが、私はデバイスレビュアーですのでマウスやキーボードが浮けばOKです。
たまたま別の目的で買っていたこの文鎮を流用していますが、アクリルの透明なペーパーウェイトとかでも良いかと思います。物のサイズによっては2本あった方が便利ですので、意外とこの文鎮良いです。
- 縦に自立する
- それなりに長さがある
- 細めで見切れない
こういった条件を満たすアイテムを見つけられれば、家にあるものでもなんでも構いません。あえて新しく買う必要もないです。
ちなみに文鎮のサイズは長さが約120mm、太さが約16mmほどです。若干細すぎて不安定なのですが、太くすると今度は柱が見えてしまう可能性が出てくるのでどこで妥協するかという話になってきます。
とても小さい物を浮かせたい場合
もし浮かせて見せたいアイテムがもっと小さい場合、例えば「時計」とか「ジュエリー」みたいなものの場合、全く違ったセットアップが必要になってきます。
これは実践はしてないアイディアなだけですが、無反射ガラス板をアクリルブロックなどで嵩上げすると良いかもしれません。こちらはサイズが複数種類あって、大きいほど使いやすいですがスペースとの相談ですね。
アクリルブロックはこんなやつかな。たぶん100mmは高さを上げないと浮いた感が薄いと思うので、2段重ねで。
これがちょっと高いと感じたら100均とかで売っているアクリルケースみたいなのでも代用可能です。
なぜアクリルかというと、斜めに撮影した時に奥がボケてしまえばよく分からなくなるかなと思ったからです。これは実際に試したわけじゃないので想定だけです。四隅が見切れない前提なら嵩上げするものはなんでも良いです。
浮いているかのように見せる配置
まず文鎮を縦に置きます。この時、地面は白とか黒といった無地ではなく模様があるものにしてください。木の机でも良いですし、柄付きの背景シートを敷いても良いです。理由は、模様だとボケた感じが分かって遠近感が強調されるためです。
今回はマウスを撮影してみるので、文鎮の上にマウスを載せます。ある程度バランスをとらなきゃいけないので基本的に中央にストンと置く感じですね。
もしキーボードの場合はもはや文鎮だと不安定すぎて役不足感なので、単純に小さい箱とかで嵩上げしてしまうことが多いです。
セットアップは以上。後は撮るだけ。
アングルを探る
実際に浮いているかのように見せるアングルを探ってみましょう。
基本的なアングルは俯瞰方向になります。横から撮ると嵩上げしているモノが見えちゃいますからね。棒が見切れないギリギリのラインを見つけ出しましょう。
真俯瞰から撮影したショットで、机にそのまま置いた時のもの。
こちらが文鎮を使って高さを出したもの。ボケ感でだいぶ印象が変わります。絞りは開けめにして、地面をボカすのがポイントです。映像だけでなくサムネイルにも使えそうな手法。
私はよく120fpsで手持ち撮影します。オープニングの2カットめは手持ちでゆっくりドリーバック・ドリーダウンしていて、編集で25%まで遅くして軽くスタビライズしています。3軸の動きをすることで立体的な映像になります。
手持ちに限らず、スライダーで動かすといったことも可能ですが、真俯瞰スライダーはセットアップがなかなか大変です。
まとめ
たったこれだけの小細工ですが、フラットな映像になりがちな真俯瞰撮影に立体感を与えるテクニックとして1つ覚えておくと良いかもしれません。
ゆっくり少しだけ動くのでも、ボケと遠近感でダイナミックな映像になるので便利です。