ホワイトバランスをとるときにどんな色の白を使うかで、カメラの色温度設定が微妙に変わります。
青っぽい白、赤っぽい白、オフホワイト、グレー系の白などなど。
そこまで大きな差が出るわけではありませんが、できれば毎回一定の結果が出るようにしたい。
そんな時に役立つのがグレーカード
ちゃんとしたグレーカード、カラーチェッカーはかなり高額です。
しかし、格安な銀一のグレーカードを切って使うことで手軽に安くグレーカードを持ち歩くことができます。
今回は小物を使って、どこへでも持ち歩けるグレーカードを作っていきます。
用意するもの
銀一のグレーカード。これがかなり安い。A4サイズなので、好きに切って使うことができます。
他のブランドのグレーカードやカラーチェッカーを買おうとするとかなり良い値段がします。もしlog撮影がメインならカラーチェッカーに投資するのも良いでしょう。
ですが、709のように通常モードで撮影するのであればグレーカードがあればとりあえずは十分かと思います。
名刺入れ。ちょっと遊び心のあるアタッシュケースタイプのものにしてみました。100均でも売ってそうだけど。
作りは悪くありません。左右のボタンを押せばパチンと開き、本当のアタッシュケースみたいで面白いです。また、フタが開け切らずとも止まってくれるのはありがたいですね。
デジタルノギス。名刺入れの内寸を測るのに使います。ぶっちゃけ目測でやっても全く問題ないですけど、こういうのあると便利だよってだけの話です。
私はマウスの寸法とかもこれで測ってます。メジャーだとどうしても誤差が大きくなってしまいますので。
カッター。カードを切るのに使います。家にあるやつでOK。やや厚みがあるのでカッターの方が切りやすいのですが、ハサミでも代用可能。
最後にボンドとか接着剤。家にあるやつでいいです。カードをケースに貼り付けるのに使います。つけ外ししたければ、テープなどを使いましょう。
銀一シルクグレーカードver.2について
銀一のシルクグレーカードはA4サイズの厚みがあるカードが2枚入っています。ライトグレーとダークグレーが裏表でセットになった同じカードが2枚。
ダークグレーは反射率18%のグレー顔料をシルクスクリーンで印刷。裏側はそれよりも2段階明るいライトグレーで、色転びが少なくグレーバランスをとるのに最適。
グレーバランスと言っていますが、ホワイトバランスと同義と考えてOKです。
表面はデリケートなので、不用意にベタベタ触らないようにしましょう。
ライトグレーではホワイトバランスをとりますが、ダークグレーでは露出計を用いて適切な露出を決定するのに使います。
白紙じゃダメなの?という質問には後ほどのホワイトバランス実例でも解説していますが、ホワイトよりもグレーが勝る理由として露出オーバーになりにくいことが挙げられます。
白はすぐに飛んでしまいますが、グレーなら適正な露出でも問題なく抽出できるレベルにおさまります。白飛びするとホワイトバランスがとれないため、結構重要です。
グレーカードを携帯可能にする
さっそくグレーカードを持ち運びやすくしていきます。
このアタッシュケースタイプの名刺入れを簡単に改造していきます。ギミック的に芸が細かくて、両端の突起を左右に押し込むと金具が外れて開きます。
普通の名刺入れでも全然OK
アタッシュケースを開くと、トップ側にちょっとしたポケットのようなものがありますが、いらないので外してしまいます。
最初は縫い目をカットしてポケットだけ外そうかなと思っていたのですが、引っ張ったら丸ごとペリッとはがれたので外してしまいました。下地はなくてもいいですからね。
ボンドが固まった跡。ここにグレーカードを貼り付けていきます。
無理のないサイズになるよう、横幅と縦幅の内寸を測ります。デジタルノギスを使えば正確にサイズを測ることができますが、目測でもぶっちゃけ問題ありません。コツはなるべく大きめに切って、少しずつ微調整していくこと。
大きさがつかめたらカッターでグレーカードを切っていきます。かなり厚みがあるので強めに押し付けながら切らないといけません。必ず下にカッターボードや雑誌などを敷いてから作業しましょう。
ちなみに今回のアタッシュケースにぴったりだった寸法は 96(横幅)x 58.5(縦幅)mm でした。誤差はあると思います。
このグレーカードは表と裏で別々のグレーなので、同じサイズのカードを2枚作ります。
先に作ったカードを上に置いて、なぞるようにカッターで切っていけば良いです。
家にあったボンドをケース上部に塗っていきます。奇しくも同じ色ですが、これは塗りすぎてしまった例。もっと薄く塗らないと、カードを貼り付けた時にあまったボンドが横から飛び出してきます。
ライトグレーが表面になるようにトップ側へ貼り付けます。
次に下側にダークグレーのカードをくっつけようと思ったのですが、下地をはがさずともそのままスポッと上手くはまったのでそれで良しとしました。
これで携帯可能なグレーカードの出来上がり。
名刺入れを選定する上で重要なのは、角度をつけた状態で止まるかどうか。グレーカードは光がしっかりあたるような角度に調整しなきゃいけないので、アングルが微調整できないと困ります。
普通の名刺入れでも試してみた
普通のステンレス製名刺入れでも試してみました。これを選んだ理由は、途中で角度を止められそうだったのと、折り返してスタンドっぽくできそうなこと。
ステンレスは指紋汚れが目立ってしまうので微妙といえば微妙な素材。おしゃれさとか高級感は漂います。
中はこんな感じでフロッキング加工っていうらしいです。
折り返せばスタンドっぽく使うことができます。この角度はちょうど良さそう。
無理にカードは貼らないで、トップ側の名刺入れ部分に入れるだけにしました。
ちょっとグレーの範囲が少ない気もしますが、近寄ればちゃんとホワイトバランスはとれます。
臨機応変にカードを引き抜いて狭い場所に置くこともできるのが強み。
2・3枚切って入れておくと、不足の事態にも対応できそう。落としたとか飛んでいっちゃったとか。室内なら大丈夫そうですけどね。
グレーカードでホワイトバランス
どれだけ違うのか実際に試してみます。
今回は分かりやすさ重視のためスチール写真で比較します。基本は動画でも同じです。
カメラのホワイトバランスをマニュアルモードにし、照明を全て点けます。
机の上に左から「青っぽい白紙」、中央に「普通っぽい白紙」、右に「ライトグレーカード」を置いてそれぞれホワイトバランスをとりました。
それぞれカメラの表示では左が5500K、中央が5400K、右が5500Kになりました。ほとんど誤差範囲に見えますね。
いずれも色や明るさに関するポスプロは一切行っていません。
中央付近を拡大して並べてみました。これで見ると微々たる違いですが、中央の5400Kが少し青っぽく見えます。
では左の5500Kと右の5500Kは全く一緒なのかというと、実は違います。
RAW現像の際の色温度と色かぶり補正の値です。左の5500Kと右の5500K、色温度は一緒ですが色かぶり補正が異なる数値です。右の方が少しマゼンタに転んでいます。
ヒストグラムの比較です。中央の5400Kはやや青が強く出ています。このように、白といっても紙の色によって結果が微妙に異なります。
毎回同じ紙を使えば結果は統一できるかもしれませんが、より正確な色味で描写したければグレーカードを使うのがてっとり早そうですね。
また、先にも言いましたがライトグレーなら簡単には露出オーバーにならないのが強みです。
さいごに
ホワイトバランスが安定しない方は今回紹介したグレーカードを活用すると良くなるかもしれません。
太陽光が入ってきたり、照明などの条件が異なるとまたとりなおしにはなります。なるべく正確な色味を出すのは商品撮影では大事なので、活用していきましょう。
正確な色味はあくまで基本ってだけで、演出としてRGBカラーを足したりするのはその人のセンス次第ってことで全然アリだと思います。
ちゃんと正確な色味が出せる上であえて転ばせることに意味があって、それこそ型破りというか、ピカソみたいな感じでね。