動画を撮影する前に決める重要なことの1つに「フレームレート」があります。
- フレームレートとは一体何か
- 動画はどれで撮るべきなのか
このような疑問について考えていきたいと思います。
フレームレートとは
映画やテレビ、YouTubeなどの映像はどれも実際に動いているわけではありません。何枚もの静止画を高速でパラパラ漫画のように流すことで動いているように見えます。
1秒間に何枚の静止画を流すか。これがフレームレートです。
単位はfpsといいますが、これは「Frame Per Second」の略で、フレーム毎秒のことです。
24fpsであるならば1秒間に24枚。60fpsなら60枚。数字が大きければ大きいほど滑らかな映像になります。
基本的に映像は24fps/30fpsのいずれかでベースとなるフレームレートを決めますが、カメラによっては24fpsで撮影できないとか、120fpsのようなハイスピードは対応していないものもありますので、持っているカメラがどのフレームレートで撮影できるか調べてみましょう。
NTSCとPAL方式の違い
住んでいる地域によってNTSCとPALに放送規格が分かれています。
- 日本やアメリカはNTSCなので30fps
- ヨーロッパや中国はPALなので25fps
日本ではNTSCに準拠したフレームレートで撮影します。
29.97・・この微妙な数字はなにか
フレームレート | 実際のフレーム |
---|---|
24fps | 23.976fps |
30fps | 29.97fps |
60fps | 59.94fps |
実際に24fpsといってもリアルに24fpsなわけではなく、それよりも0.1%遅くなった23.976fpsになります。いちいち細かく言うのも面倒なので、普通に24fpsや30fpsといっていますが、本来はこの細かい方の数字をさします。
これは大昔に白黒からカラーテレビに移行したとき、従来と互換性を保ちながらカラーにする必要がありました。細かいことは省いてざっくり言うと、映像と音がズレるのを防ぐために0.1%遅くしたことからこの数字が生まれたようです。以来この数値がスタンダードとなっています。
編集時にプロジェクトを29.97fpsでなく30fpsで作ってしまうと、リップシンクが合わずに音が少しつづズレてしまう現象が起きます。音が次第にズレていくと感じたら、プロジェクトのフレームレートを確認してみましょう。
動画はどれで撮ればいいの?
最終的な映像の仕上がりをどのようにしたいかで決めますが、よく分からなければ最初は24fpsか30fpsにしておけば間違いないです。
フレームレート | 効果 |
---|---|
24fps | 映画のような映像 |
30fps | テレビっぽい映像 |
60fps | 2倍~2.5倍スローに |
120fps | 4~5倍スローに |
映画は基本24fpsで撮影されていて、シネマティックな映像を求めるなら24fpsが良いです。
30fpsはそれよりも少しスムーズなテレビよりの見た目になります。ガジェットやデバイス撮影ならおすすめ。
60fps、120fpsはそれぞれスローをかけてもカクカクせずにドラマティックな映像ができます。
おすすめのフレームレート
私は主にデスク上でマウスやキーボードといったデバイスをレビューしていますが、基本30fpsでプロジェクトを作って編集を行い、それをアップロードしています。
物撮りなんかはある程度見やすさ重視になるので、ガジェットやデバイス撮影をするなら30fpsがいいと思います。もしどうしてもシネマティックさを優先したいのであれば24fpsが良いでしょう。
とりあえず、迷ったら30fps。
フレームレートを決めたら、それに合ったカメラの設定にします。
カメラの設定を決める
24fpsで撮影するならなるべく24fpsで撮影した方が良いですし、30fpsなら30fpsで撮影した方が良いです。これは原則ですが、実際のところ場合と状況によって変わります。
例えばカメラは30fpsにして撮影し、24fpsのプロジェクトに素材を入れます。すると編集段階で映像を80%のスピードにスローダウンすることで少し滑らかな映像にすることができます。
これは被写体が人の時にも使えて、ちょっとだけドラマティックなタッチを加えたりスムーズさが欲しい時にはおすすめの手法です。ただし、これは音を同時にとらないアフレコなどが前提になりますし、24fpsのプロジェクトで30fpsの素材をリアルタイムに使おうとするとカクつきが出てしまいます。
これは何故かというと、30枚の映像を24枚が限界のところに無理やり放り込むわけですから、5枚に1枚の割合でフレームを削っているわけです。するとコマが飛んだような現象になります。
編集ソフトによってはある程度クリップを調整してくれるようですが、完璧とは程遠く、やはりコマ飛びは起きます。リアルタイムで使うなら必ずプロジェクトとフレームレートはマッチさせましょう。
30fpsのプロジェクトの場合は、その倍数である60fpsや120fpsで撮影しても全く問題ありません。
私の場合、上記の設定にすることが多いです。必要な時以外は基本的に60fpsで撮影しています。
今後は4Kで撮影をしていこうと思っていますが、「SONY a7III」の設定的に4K/30fpsが限界なので、30fpsプロジェクトに30fps撮影映像を入れ込むことになりそうです。
「SONY a7SIII」は4K/120fpsまで対応していますので、手に入れられたらまた60/120fps撮影して30fpsプロジェクトという設定に戻る予定です。
高いフレームレートのメリットとデメリット
最終的には30fpsで動画にするのになんで60fpsとか120fpsみたいな高いフレームレートで撮影するのか。そのメリットとデメリットについて見てみます。
メリット
- スローモーションにできる
- 映像と音声の尺を合わせやすい
30fpsベースである場合、60fpsなら2倍、120fpsなら4倍まで編集で遅くすることができます。
4倍スローにすることで、手持ちで撮影しても揺れを抑えた映像に仕上げることができます。スタビライズもかければスライダーに載せて撮ったかのようにも。
そこまでスローにしなくても、例えばちょっとだけ音声の尺に映像が足りない・・なんて時は少し間延びさせてあげればハマります。このおかげで編集作業がかなり速くなります。
これは音声を同時に収録しない場合に使える手法ですので注意してください。私は基本音声は全部アフレコですので、映像に関しては自由にスピード調整ができます。
逆に喋りながら撮影する場合、スローにすると音声も淀んでしまいますので、ハイフレームで撮影するメリットは薄いです。データ容量ばかり大きくなってしまいますので、プロジェクトに合わせたフレームレートで撮影するのが良いでしょう。
デメリット
- ファイルのサイズが肥大化する
- 映像が暗くなる
ファイルのサイズが大きくなってしまうこと、そしてシャッタースピードが速くなるため映像が暗くなってしまうことが難点。
もっとも自然なモーションブラーにするには撮影するフレームレートの2倍のシャッタースピードが原則です。
120fpsで撮影する場合の理想のシャッタースピードは1/250です。最低でも1/125で、これより遅くはできません。ここまでシャッタースピードを速くするとセンサーに入ってくる光が少なくなるため、映像が暗くなります。
24fpsで撮影する場合のシャッタースピードは1/50でいいわけですから全然違いますね。暗くなってしまった分、ISOで電気的に明るくするか、絞りがあく明るいレンズを使うか、ライトを強力にする必要があります。
当然明るいレンズは高いですし、強力なライトも高いです。予算を抑えるならば日中の明るいうちに窓際で撮影するなど工夫が必要です。ただし、外光を使うと時間経過や雲の加減で暗くなって一定の映像にならないことが懸念されますので、本当はスタジオセットアップとしてライトをしっかり用意することが大事です。
おすすめの設定をさくっと教えて!
ガジェット・デバイス撮影で私のおすすめのフレームレート設定です。
- カメラ設定:60fps/120fps
- プロジェクト:30fps(29.97fps)
まとめ
フレームレートとはなにか。動画はどのフレームレートで撮ればいいのかについて考えました。
最初から小難しいこと考えすぎて撮影する前からやる気を失ってしまってもアレなので、とりあえず30fpsで撮影することを目標にしてみるといいかもしれません。
そのうち自分に合ったフレームレートや撮影方法が定まっていくはずです。